スズキ アルトラパン リアハブベアリング交換
山梨県甲府市の自動車整備工場「原品自動車工業所」です。
おクルマの車検、点検整備、修理はもちろん、県内では数少ない福祉車両事業を自社で行っています。日々の業務を出来る限り分かり易く、ゆる~くご紹介しております(^^)
今回はスズキ アルトラパン(HE21S)のリアハブベアリングの交換です。
HPを見て頂いた初めてのお客様より「走行中に後ろからゴロゴロ?ゴ~?って感じの音がするので見てもらえますか?」と事でご入庫です。
クルマの走行中の異音は色んな条件下で出るものなので、先ずはお客様より症状を詳しくお聞きします。その後試乗し音を確認。場合によってはお客様同乗で確認致します。(音やニオイなどは人によって感覚や表現が違う事が多く、一方的な解釈だけだと不具合個所の判別が難しくなる場合もあるので)
で、試乗したところ、40キロほどのスピードになると確かに後ろから「ゴ~」と室内に低い音が聞こえてきます。この異音はおそらく・・・
工場に戻り、リフトアップして異音の聞こえていた後ろのタイヤを空転(停車時は音がしないので、走行時を再現する為です)させ、音の出どころを確認すると、ブレーキドラムから「ゴロゴロ」と嫌な感じの音が聞こえてきます。
(ブレーキドラムなどブレーキに関しては、また何処かで書きたいと思います)
この時点で、ほぼブレーキドラムにある「ハブベアリング」の不良と判断していますが、確認の為、タイヤを外しドラムを取っていきます。ここで、今回の異音の元凶が!
このドラムには「ハブキャップ」があり、キャップを外すとドラムを止めている「ロックナット」が見えてくるのですが、このキャップの裏に水滴が・・・
スズキあるあるですが、このハブキャップは下手な外し方をすると、キャップが変形してしまい、ドラムとキャップの間に隙間が出てしまう事が良くあります。
キャップはその奥にあるロックナット、ハブベアリングにホコリや水といった異物の混入を防ぐ役目をしているので、変形したキャップをそのままはめると、画像の様に水などが入り込んでしまうのです(^^;
ドラムの中のベアリングは走行中終始回転しています。ベアリングにはその中にあるローラー(小さな球体)の摩擦や摩耗を防ぐ為にグリス(固めの油脂)が注入されていますが、この中に水分が入り込むとグリスが水と混ざり合い、潤滑油としての役割を無くしてしまうのです。
その為、ベアリングは潤滑油が劣化した状態で回転するので摩擦と摩耗が進み、ベアリング内のローラーが摩耗し隙間が大きくなり「ゴロゴロ」と音を出す事になります。最悪の場合は摩擦で「焼き付き」を起こしタイヤが回らず走行不能になる可能性もあります。
原因がはっきり見えたので、ハブベアリングの交換をし、新しいハブキャップをはめて作業は終了。試乗後、異音が無くなったのを確認して納車となりました。
今回の異音はベアリングの劣化ですが、原因は車検もしくは点検時に行った作業による作業ミスと言って良いでしょう(-_-メ)
整備士ならこの様ないい加減な作業をすると、どうなるか分かっていると思われます。ロックナットも本来再利用不可の部品ですが、2度利用した事が分かる打ち込み跡がありました。
私自身もミスが無いとは言えませんが、明らかにやる気の無い作業をしてある事に同じ整備をする者として怒りするら覚える事例です(# ゚Д゚)
他の工場にこんな作業跡を見られたら恥ずかしいって思わないのかなぁ~
今回のお客様、当店を始めてご利用された理由には、もしかしたら以前の工場に不信感を抱いていたからかも知れませんね。
当店ではお客様が安心してカーライフを過ごされる為に日々一台一台に注力して作業しております。おクルマで気になる事などがありましたら、お気軽にご相談下さい!(^^)!