【左アクセルペダル 山梨】左アクセルペダルについて 

query_builder 2022/05/25
福祉車両施工事例
IMG_8484

当店は山梨県甲府市で福祉車両事業を行っている自動車整備工場です

凡そ一か月にわたり「軽トラ、軽バン」左アクセルペダルを取付けた場合のイメージを投稿してきました。


投稿の内容は車両への装置取付をメインにしていたので、左アクセルを利用する場合の留意点など説明が足りていなかったと思います。

そこで、今回は左アクセルペダルを取付ける前後に、必要となるであろう事柄を投稿したいと思います。


長文となっていますが、これから左アクセルペダルが必要か考えている方などに届いて欲しいと思い、記事にしますので最後までお付き合い頂けると幸いです。

IMG_8464

先ず左アクセルペダルとは何ぞや?となりますが、この左アクセルペダルは自動車を運転する為の運転補助装置となっています。


通常の車両に設置されている運転装置(アクセルやブレーキ、ウインカー等のレバー類など運転に必要な装置)を、身体的な理由でそのままでは利用するのが困難な環境にある場合に、それらの役割を満たす為の追加装置が運転補助装置の役割となります。


左アクセルペダルもその一つで、通常の右アクセル操作が困難な方が左足でアクセル操作を可能とする補助装置です。

sick_genshitsuu

左アクセルペダルを利用している方の身体状況については様々です。

・脳卒中などの後遺症で右片麻痺が残ってしまった方

・病気、事故によるケガなどで右足を切断した方

・先天性による右下肢欠損の方

・骨格の変形、神経障害などで右足での操作が困難な方

など


あくまでも一部の例となりますが、通常の右側アクセルの操作が難しい状況の方が利用されます。


左アクセルペダルを取付ける事で、クルマの運転が可能になる事は生活の行動範囲を広げる事となり、社会参加の一助となります。

特に公共交通機関の少ない地方にとってはクルマは無くてはならない生活の足であり、仕事や趣味などその人らしい生活を支える乗り物となっています。

その為、地元山梨でも左アクセルペダルを必要とし取付をご希望される方はいらっしゃいます。


では、ここからは左アクセルペダルを利用する時の留意点を話して行きたいと思います。(簡略的に記載するので詳細についてはお問い合わせください。)

kenkoushindan_monshin

右足に何かしらの障害がある理由も様々ですが、障害が出た時期も様々だと思います。また入院中、通院、健診など何かしら医療機関との繋がりがあると思われます。

左アクセルペダル取付を希望する事は=クルマの運転を希望する事なので、まず初めに確かめる大切な事があります。

それは「周囲の理解」「医師の診断」です。


「周囲の理解」はご家族や親族など、親しい間柄の人間が左アクセルペダルを利用して運転する事への理解があるかです。

本人はそれを必要とし、運転を希望しても周囲が納得していない状態での運転は望んだものにはなりません。


「医師の診断」については、主治医に運転の希望を伝え、相談を行ってもらうことになります。正しい身体機能の評価を行って頂き、運転に対して医師の判断を伺います。(場合によって運転に向けたリハビリなどを進めて行く事も必要となります。)


クルマの運転をする事は、社会的責任を大きく負う事となります。

運転に対するご自身の身体状況を把握し、周囲の理解を得る事が大切となります。

左アクセルペダルの改造に対するご相談はどのタイミングでも構いません。当店ではご希望を伺い、運転に向けて一緒に考えて行きます。

thumbnail_menkyo_man

次は運転免許についてですが、この辺りはこちらのサイト(日本身障運転者支援機構)などで詳細が載っていますので、見て頂いた方が分かり易いと思います。

当店でも免許証の取得や更新などのフォローも含めご協力させて頂きますので、お気軽にご相談ください。

CIMG2360

次はクルマへの左アクセルペダル取付けと利用上の内容です。


左アクセルペダルは国産車、輸入車と大半の車両に施工する事が可能です。また、今まで乗っていたクルマ、これから乗りたいと考えているクルマにも取付ける事が出来ます。

左アクセルペダルには床置きタイプや跳ね上げタイプなど、種類があるので、利用される方の身体状況や車両との相性などで選択する事が出来ます。

一部取付が難しい車両もありますので、希望する車両に左アクセルペダルの施工が可能か、必ず当店の様な取付業者に確認して下さい。


左アクセルペダルの取付が可能だとしても、それで直ぐ運転ではありません。

身体状況によって、クルマへの乗降りの動作や運転時の姿勢、アクセル以外の運転装置への操作確認などが必要です。


IMG_1473

先ずはドアの開閉や乗降りの動作が無理なく出来るか。

左アクセルペダルを利用する方のクルマの乗降りは健常者とは違います。

国産車(右ハンドル)で考えてみます。


ドアの開閉については左アクセルペダルを利用する方の大半が無理なく出来る場合が多いので乗降りから。

健常の方であれば、ほぼ無意識に右足に重心を乗せ、左足を上げ、その足から車内に入り込み、右足を軸に上体を捻るようにしながらお尻から運転席に座り、最後に右足を上げて室内に入れる。といった一連の動作になると思います。


これを右足の不自由な方が行うとなると、乗り込むまで重心を支える右足が使えないので

出来る限り座席に近づき、左足を軸に体を捻り直接お尻から座面に座るか、上半身を室内に入れながら、左手を座面など体を支え易い場所に置き、左手足で支えながら体を捻りお尻を座面に乗せ、左足を室内に入れます。

右足を最後に入れるのですが、右足は動かないので左腕(右腕が使える方は右腕)などで抱える様にしながら室内に引き込む格好となります。


降り方に関しては乗り方よりスムーズな場合が多いので割愛しますが、こちらも身体状況により考慮します。

IMG_8482

乗降りの際には地面から座面までの高さやサイドステップから室内までの距離も気になる所です。

座面にスムーズに乗れるか、最後の右足を室内に無理なく引き込めるかは高さと距離が関係しますので。

また座席までの高さが低くても、サイドステップのせり上がりが大きく室内フロアとの高低差がある様な車両は右足を大きく抱える動作が必要となったりします。


左アクセルペダルを利用する方の全てに当てはまる事では無いですが、クルマへの乗降りの際の動作にも注意する事は大切です。

car_sports_couple

では運転席に座った後ではどうでしょうか。


先ずはシートポジション。運転時の姿勢はアクセル、ブレーキはもちろん、ハンドル操作やその他の装置の操作、視界の確保などクルマの運転を安全に行うのに大切です。

片麻痺の方などはカーブなどでの態勢保持が不安定になる場合がありますので、肘掛(アームレスト)などで体が振れるのを抑えるなどの態勢保持も考えます。

また、中には褥瘡(じょくそう)になる方もいますので、その様な場合はクッションなどで対応します。


足元には左アクセルペダル(床置きタイプの場合)が置かれることで、通常時の足元よりスペースは狭くなっています。

アクセル操作は踵が付いている状態で行えるか、ブレーキはアクセルからの距離が出すぎていない位置にあるか、アクセルからブレーキまで左足を移動させる途中に問題は無いかなどを確認します。

また、感覚の無い右足がブレーキペダルの下などに入り込む事や、痙攣などでペダルの誤操作などの危険は無いかなども考慮します。

問題がある場合は対応策を講じる様にします。


それぞれ座った体勢で無理なく運転操作が行えるか確認します。

IMG_3851

運転姿勢が決まったら続いてハンドルやウインカーなどの運転装置の操作を確認します。


ハンドルの回転操作はエンジンを掛けた状態で据え切り(その場でハンドルを回すこと)が出来るか?

右片麻痺の方など右腕にも障害がある場合、両手でのハンドル操作が困難になります。

左手をメインで回転させる事が出来れば問題はありませんが、力の弱い(入らない)方などもいます。その場合にはハンドルに取付けるステアリングデバイスなどでハンドルの回転補助を考えていきます。


ウインカー操作は可能か?

国産車は右側にウインカーレバーがある為、上記の様な上半身にも麻痺などがある方はレバー操作が容易に出来ない場合があります。

その場合、動きの容易な左手側まで延長レバーを取付ける事もあります。

左手を反対側まで伸ばし、ウインカーレバーを動かす方もいますが・・・

輸入車の右ハンドルだとウインカーは左側にありますので、ウインカー操作は楽ですね。

ワイパーやヘッドライトもレバー操作になっている事が多いですが、この辺りは走行中の連続した操作とは限らないので、ケースバイケースで考えて行きます。

最近の車両はオートライト機能付きも増えていますね。


パーキングブレーキですが、手動式のサイドブレーキと足踏み式のフートブレーキがあります。

この辺りは左アクセルペダルが取付けれるか、車両確認を行う時点で一緒に確認をしておきます。

「軽トラ、軽バン編」でもお伝えしていましたが、足踏み式のフートブレーキの場合、左アクセルペダルの可動範囲を邪魔してしまう事が多く、その場合はフートブレーキを手動のレバー式に加工する事となります。


car_drive_mark_syoshinsya

運転への環境が整えば、いよいよ左アクセルでの路上運転となるのですが、初めて左アクセルで運転する場合は慣れるまで注意が必要です。

クルマ自体を初めて運転される方はもちろんですが、左アクセルが必要になるまで通常の右アクセルで運転経験のある方(ケガや病気などで左アクセルを利用して運転再開をする方)は特に注意して頂きたいです。


以前は右足で無意識に近い環境でアクセル、ブレーキ操作が出来ていてたと思いますが、左アクセルでは慣れるまで常にアクセル、ブレーキを意識して動かさなければなりません。

自動車の運転は「認知・予測・判断・操作」で行われていると言われています。

慣れないアクセル、ブレーキ操作に意識が行く事で、これらが散漫になる可能性が大きく、事故の原因にもなりかねません。


右利きの人が左で箸を問題なく使えるようになるまで何度も練習を繰り返し慣れる事と同じで、左アクセルペダルでの運転も練習を重ねる事が大切です。

広い場所や交通量の少ない時間帯など、外的要因が少ない場所と時間を選んで練習する事をお勧めします。


私自身、この様な改造の仕事をしているので、左アクセルペダルでの運転をする事があります。多少は慣れて来ましたが、感覚を掴むまでは緊張感が大きかったです。

楽しいカーライフは安全な運転があってこそ成り立ちます。

慣れない操作で戸惑うかとも思いますが、日々練習を行うことで充実したカーライフを目指しましょう。

job_ginkou_uketsuke

さて、最後の内容となりますが、ここでは左アクセルペダルに関わる費用のお話しをしたいと思います。


左アクセルペダルの種類(床置きタイプや跳ね上げタイプなど)や車両への取付工程の違いなどで差はでますが、凡そ10万円~20万円前後になる事が多いかと思います。

サイドブレーキの加工、ステアリングデバイスなどの追加補助装置は別途費用がかかりますので、取付業者さん、またはディーラーさんとよく話し合い金額を決めていく事になります。


左アクセルペダルなど本人運転に関する改造をする場合は助成金や補助金制度を利用できる場合があります。

これらの問い合わせ窓口はお住いの各市町村福祉課となります。

当店HPでも改造に対する優遇措置について載せてありますので、こちらもご覧頂ければと思います。



この様な申請を行う場合、必要となる書類等に車両の写真や改造前後の写真、改造に際する見積もり等があります。

当店はこれらに関してもご協力させて頂いております。

ojigi_man

長文となりましたが、ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

この投稿を最後までご覧になって頂いた方は、何かしら左アクセルペダルに関心がある方ではないかと思われます。


今回の投稿は簡略して載せていますので、まだまだ書き足りない部分もあります。

左アクセルペダルについて気になる事などありましたら、当店にお気軽にご相談下さい。

自由なカーライフへの一歩を踏み出せるよう、ご協力させて頂きます。


当店ホームページはこちら

----------------------------------------------------------------------

原品自動車工業所

住所:山梨県甲府市向町394-2

電話番号:055-235-0375

----------------------------------------------------------------------

NEW

VIEW MORE

CATEGORY

ARCHIVE

TAG